最後の一夜が授けた奇跡

「ねぇ・・・多岐川・・・」
私の声に多岐川が慌てたように体を離す。

プールサイドで私はバスタオルを敷いた場所の上に寝かされていたことが分かる。

多岐川は体を離して、私の背を支える。

「申し訳ありません」
視線をそらす多岐川。

少し多岐川と距離ができたことで、多岐川の状況も視界に入る。

きっとプールで倒れてた私を助けるためにプールに飛び込んでくれたのだろう。

「なんか・・・疲れちゃった・・・」
初めて漏らす弱音。

厚い化粧も、ブランド物の服も、ヒールの高い靴も今はない。

だからか・・・
すごく自然とその言葉があふれだした。