最後の一夜が授けた奇跡

数日後。
正式に【ASAKAWA】から婚約破棄の申し入れがあった。

石川財閥の経営状況はかなり厳しい。
最後の頼みの綱だったこの結婚が無くなったことで社の中でも動揺が見られていた。

父も同じようにかなり機嫌が悪い。
それは会社の状況がかなり厳しいことを裏付けているようで、私は心が痛んだ。

いろいろと考えてから、私は多岐川の運転する車で【ASAKAWA】へ向かった。

「どうされるんですか?」
必要以上は話をしない私と多岐川。
多岐川から質問されるのはめずらしい。

「わからないわ」
「・・・」
「でも・・・ちゃんと確認したいの」
「確認?」
ルームミラー越しに視線が合う。