最後の一夜が授けた奇跡

ちゃんと謝ることもできなかった・・・。

走り去る父の車に頭を下げながら私は茫然とする。


私の存在価値ってなんなのだろうか・・・。

「今日の会食はキャンセルになったそうです」
いつまでも頭を下げていた私のすぐとなりに多岐川が来て報告してくれる。

何が起きたのかわからない私の代わりに状況を確認してくれたらしい。

父はどうして去って行ったのか。あんなに怒っていたのか。
多岐川が私に報告をしてくれた。

「行きましょう」
その言葉に私はやっと頭をあげて、車に戻った。

「頭、お気をつけください」
ぼーっとしている私が車に乗り込むのを、多岐川はドアを開けて、エスコートしてくれる。