最後の一夜が授けた奇跡

「どういうことだ」
「・・・え?」
「えじゃない!朝川律樹との婚約のことだ。」
「・・・」
ものすごい勢いで言う父。

思わず黙ると父は顔を真っ赤にして私に大きな声をあげる。

「お前がここまで役にたたんとは思わなかった!石川財閥の恥だ!お前はうちをつぶす気か!」
「・・・申し訳ありません」
父の勢いに頭を下げる。

どんな場所でも堂々としていないとならないという父からの教えを守り、いつも堂々としていることを心掛けて来た体。
大きなパーティーでも堂々として、誰かの前に立つときも堂々として・・・両足をしっかりと地につけて来たのに、今日は両足が自然と震える。

「謝ってどうこうならん!謝る暇があればなんとかしろ!」
父はひとしきり怒鳴ってから、大きく足音を踏み鳴らし戻って行った。