最後の一夜が授けた奇跡

多岐川が私の専属秘書兼運転手になったのは私が高校3年生の終わりのころだった。

元は多岐川貴一つまり多岐川亮太のお父さんが私の専属秘書兼運転手だった。
それが急に亡くなり大学を卒業し外資系の会社に就職をしていた息子である亮太が後任として石川財閥に入ったのだった。

なぜ、亡くなったお父さんのあとを継ぐように私の元へ来てくれたのかはわからない。

でも、元は父の秘書であった多岐川貴一の家族とは昔からつながりはあった。
亮太のことは昔から何か家族での行事やパーティーがあると目にしていて、挨拶も交わしたことがある。

私は昔からあまり多くは話はしない性格で・・・。違う。元はお話は好きな子だったのかもしれないけど、話をしたくてもあまりべらべらと話をするのは下品だと育てられて我慢していたから・・・いつの間にか必要以上は話さなくなったのかもしれない。

子供などほとんどいないパーティーの場に亮太がいても、私は話をしたり一緒に遊ぶこともしなかった。

ただその顔を見たことがあり、その存在を知っていただけかもしれない。