律樹のご両親が帰ってから、私たちはデパートの近所を散歩した。
ベビーカーでは泣いてしまう桔平を律樹が抱っこひもを使って抱っこしてくれている。

律樹が桔平を見つめるその瞳は、また違って見えた。

「うれしいね。お義父さんとお義母さんの気持ち」
「あぁ」
「よかったね」
「あぁ」
律樹が私の方を見た。

「桔平が生まれてくれたから、季里とこうして一緒にいるから、知ることができたことだな。」
「そうかな」
「そうだよ。俺、よかったって本当に思ってる。」
嬉しそうな微笑みを見せる律樹の手を私は握った。

しっかりと手を握りなおしてくれる律樹。