最後の一夜が授けた奇跡

『就職おめでとう。これでずっと一緒だな。』
無邪気な笑顔を向けてくれた律樹を鮮明に思いだせる。
今でも、鮮明に。

私は自分のバックの中に大切にその箱をしまった。

抱きしめるようにしながら家路につく。

あと何回この道を通るのだろうか。


次に働く場所はここからは遠い。
あえて駅も違うような場所を選んだ私。

もう二度と律樹に会えないかもしれないと覚悟を決めて探した就職先。
採用通知書が届いたとき、本当は複雑な気持ちがあふれた。

本当のさようならを告げる時が、決まってしまったから。