最後の一夜が授けた奇跡

律樹の大きな体に抱かれた桔平はかなり小さく見える。

「ほら、ママにもおはようは?」
まだ眠そうな桔平は律樹の胸に顔をこすりつけながら目を開けられずにいる。
「おはよう」
私が桔平に手を伸ばすと「いいから。俺抱っこしてる。」と私が家事を続けられるように、桔平を再び寝室に連れて行き、おむつをかえて着替えされてくれた。

機嫌よく桔平が遊んでいるうちに私たちは慌ただしく朝食を食べる。

「おいしかった。ごちそうまさまでした。」
「いいえ。おそまつさまでした。」
「季里は着替えておいで?」
「ありがとう」
桔平を見ながら律樹が食事の片づけをしてくれている間に私は身支度を整えた。

鏡の前にうつる自分が明らかに疲れている顔。
コンシーラーでクマを隠しても、隠しきれない。