最後の一夜が授けた奇跡

赤ちゃんとの初めての対面。
なのに、泣き顔じゃいやだ。

私は涙を拭い、律樹に頷き返した。

「行こうか」
「うん」
律樹に押してもらい車いすを進め部屋に入っていく。

「おめでとうございます。」
スタッフの方が優しく微笑みかけてくれた。

「ママと会えてうれしいねー。」
保育器に向かい話しかける看護師さんに、私たちの子がいる保育器の場所がすぐにわかった。

「少し下げますね。ママが会いやすいように。」
保育器の高さを低くして、看護師さんが私の高さから赤ちゃんが見えるようにしてくれる。

「はじめましてー。ママだよー。」
看護師さんがそう言って、保育器から離れた。