最後の一夜が授けた奇跡

朝起きていつものように診察を受けるために車いすに乗り、律樹に押してもらいながら診察室に向かっていた私。

「毎日エコーでこの子に会えるのはうれしいよな」
「そうだね」
「季里」
「ん?」
私を背中側から覗き込む律樹。
「なんか顔色悪くないか?」
「そう?」
「季里っ!」

その時足元に感じた違和感に、私はふと視線を足元へ移した。

律樹も慌てた様子で車いすの下に視線を移している。

真っ赤に染まった病院の廊下が視界に入った。
「誰かっ!」
律樹が急いで助けを呼ぶ声が聞こえる。