最後の一夜が授けた奇跡

「名前、決めないとなー。」
「うん」
「本、読んだ?」
「呼んだけどいろいろ考えたら決められないよね」
入院中、時間のある私のためにと律樹が名づけの本や育児書を差し入れてくれた。

「季里・・・律樹・・・きり・・・りつき・・・」
私たちの名前がつながっていることは、赤ちゃんの名前を考え始めてから気づいた。
「この子の名前で俺たちの名前を繋げるのはできなさそうだし」
私のお腹を撫でる律樹。

「おっ動いてる」
入院してからも赤ちゃんはちゃんと胎動を感じさせてくれる。
「どんな名前がいい?・・・おい・・・パパだぞー」

私のお腹に向かって話しかける律樹を見ていると幸せな気持ちがあふれる。

こんなにも穏やかで安定した気持ちで過ごせたこと、付き合ってからもなかった。
いつも心の奥で、いつか別れを想像していた私。