「お客様が全員外に出られたら、その時刻で閉店とする。」
「はい」
秘書たちは慌ただしく非常用のマニュアルに従い連絡をまわしたり、手配を始めた。


その時。

「社長・・・」
先に連絡を受けて話していた秘書が顔色を変えて俺の方を見た。

「どうした?」
「乗り場のインジケータが表示している階数が・・・60階だそうです・・」

秘書の言葉に俺は全身が凍り付くように感じた。

60階。

それは俺と季里が住んでいる最上階のフロアだ。