最後の一夜が授けた奇跡

その時「社長!」と秘書が電話の受話器を持ちながら立ち上がり俺の方に手をあげた。

すぐにその秘書の方へと近づく。

「どうした?」
秘書は電話の相手と何かを話している。

「はい。・・・はい。・・・・45階あたりですね。・・・・はい。」
秘書の声はかなり緊張している。

受話器の通話口を手でふさぎ秘書は俺に小声で報告をする。

「エレベーターが止まっているようです。」
その報告に周りの秘書もざわめき始める。

「監視カメラは?」
俺はすぐにエレベーター内の監視カメラをモニターで見ることをほかの秘書に指示した。

あいにく秘書課にも社長室にも監視カメラの映像が見られるモニターはない。
1階にある警備室に内線をまわして秘書がモニターを確認するように伝えた。