最後の一夜が授けた奇跡

「我々も長年のお付き合いをいただいている石川財閥さんとの取引を終えることは本意ではありませんが、石川財閥さんからのご提案には添えませんので、残念ですが現在の契約期間を終えたら撤退をさせていただき、取引も終了となります。長年、ありがとうございました。残りの契約期間はありますので」
俺の言葉を代表がさえぎる。

「ちょっちょっとおまちください」
急に敬語になる代表。

その瞬間、俺は勝ったと思った。

「借地料の話も、売買契約の話も、経営権の話もなくしたらどうなりますか?」
代表の話に俺はまた悩むふりをする。

すぐにでも答えられることをわざと時間をかけて、視線をそらし悩むふりをする。

代表は俺の方に身を乗り出して返事を待っている。