最後の一夜が授けた奇跡

それでも俺は緊張が伝わらないように冷静に話を続ける。

「【ASAKAWA】の売り上げは私が就任してから伸びていることはご存じでしょうか」
「でも今は空き店舗が多くて経営は赤字だろう」
公開していない情報を持っている石川財閥。
きっとうちの社員から情報を得ていることは予想の範疇だ。

「しかし、その空いている5店舗分の場所に近日新店舗が一気にオープンすることをご存じですか?」
「知っているがどうなるかはわからんだろう」
敬語を使う余裕すらなくなっている石川財閥。

「オープンに合わせて大きなイベントと多店舗も巻き込んだセールをしようと企画しています。すでにかなり有力な企業の協賛もいただいている。」
「でもやってみないとわからんだろう。大きな賭けすぎる。」
「そうですね。でも、大きな賭けに出るのは石川財閥さんも同じでしょう」
俺の言葉に代表が明らかに目を泳がせて動揺が見えた。