「椅子までご用意いただきありがとうございます。」
「いいえ。今秘書が飲み物をお持ちいたしますので、お待ちください。何かお好みはございましたか?」
石川財閥の代表と同じように俺もわざとらしく話をする。

「すぐにお話は終わるものと思っていますから。飲み物は結構です。」
「そうですか」
石川財閥の代表は俺の心を揺らがそうとしているのか、まっすぐ鋭い視線に口元には不敵な笑みを浮かべている。

俺は絶対にそらすものかと代表の目を見た。


「今日は結論だけ聞きたくて来ました。借地料の値上げの件、ご同意できますでしょうか」

更に鋭さを増した視線で俺を見ながら代表が口にする。

俺は小さく息を吸い込む。
そしてぐっとこぶしに力を込めて気合を入れてから話始めた。