最後の一夜が授けた奇跡

たくさんの人達が働くこの場所。

今までたくさんの人が守ってきた場所だ。


「今日、石川財閥の代表が来てるって聞いた?」
商品の陳列をしている職員の声が聞こえてくる。

いけないとは思いつつも耳を澄ませてしまう。

「私たちももしかしたら首かもしれないわね。ちゃんと次の仕事をあっせんしてくれるかしら。」
「私はここを辞めることになったらしばらく働かないつもりよ。」
「ここ、よかったものね」
「そうねー。待遇もよかったし、なんせ昔から自分が買い物していて通って来た場所だからねー。働くどうこうより、このデパート自体が存続できなくなったら悲しいわよねー。」
「まぁね。きっとここが無くなってもまた別の新しい場所ができるんでしょうけど。ここには愛着と思い出があるからねー。」

心がずきずきと痛む話しだ。