最後の一夜が授けた奇跡

夜。

部屋の大きな窓の前でひとり立っている季里。
その後ろ姿からも不安が見える。

この不安そうな姿を早くなくしたい。
心から安心してほしい。

せめてお腹の子が生まれるまでには。


俺は季里を後ろから抱きしめる。

この場所で季里が言った『これが最後の夜』という言葉を思いだしながら。

あの時、俺にそう告げた季里の俺を想う気持ちの大きさに、俺は切なくも苦しくもあった。
でも同時に季里の愛の大きさを想い知って、少しうれしくもあったんだ。