最後の一夜が授けた奇跡

「どういうつもりですか」
明らかに敵対視しながら彼女を見る律樹。
私は律樹を止めようと律樹の手をつかんだ。

「冷えてるじゃん」
私の手に驚きながら律樹が私の両手を自分の手で包み込んだ。
少し肌寒かったかもしれない。でも、それ以上に”現実”を、目の当たりにして・・・今の状況に緊張をしたからだと思いながら、私は律樹に「大丈夫だから」ということしかできない。

「話があるなら私にしてください。妻は今とても大事な時期なんです。妻を巻き込まないでください。」
「律樹」
険しい表情のまま、低い声で言う律樹を止めようとする。

「私は忠告に来ただけです。」
彼女は一切ひるまずに話をする。

彼女の強さがこんな時なのに少しうらやましくも思った。