最後の一夜が授けた奇跡

律樹のお父さんも、息子に自分の守ってきた会社を継いでほしいというのが本心だ。

でも、理事長という立場だからこそ、ただ息子になんでも与えらえるわけではない。

ほかの社員を納得させるためにも、会社を守るためにも、理事長自身つらい選択をするしかなかったのだと思う。

もうすぐ親になろうとしているからこそ、理事長の気持ちが分かるような気がした。



何とかかき上げた婚姻届と一緒に私たちは写真を撮った。

これからが始まりだ。


その晩、私たちは新しく広いベッドになったのに、私の部屋にあった小さなベッドで寝ているかのようにぴったりと寄り添って眠った。