最後の一夜が授けた奇跡

夜になり、さすがに引っ越しで疲れた私たちはデパートの店舗で適当に惣菜を買い、夕飯にした。

デパートの社員たちの中には律樹を知っている社員もいて、一緒に歩いている私の存在に興味深そうに視線を送ってきた。
ましてや少しだけ目立つようになってきたお腹にも視線が集まる。

気まずくて律樹の後ろに隠れようとする私の手を握りながら律樹は堂々と買い物をしていった。
片手に買い物かご。もう片方の手は私の手をギュッと握っている律樹。
小さな段差にも敏感に反応して私をエスコートしてくれる。

おどおどする私とは違って律樹は堂々としているのが不思議なくらいだった。

でも、こういう状況にも慣れて行かないとならない。

律樹からの言いつけで買い物をするときは必ず一緒にとは決めているが、いろいろとこのデパートで、これからは買い物をするようになる。

その度にこういう視線を感じなくてはならない。