「あ、その引き出しはこの箱に・・・」
言っているそばから立ち上がり動き出す私に律樹はあきれたように笑った。

それだけ私の体調も落ち着いて動けるようになったということだ。

つわりはまったくなくなり、お腹の張りも妊娠中期に入り急になくなった。

私はずっと安定しない妊婦なのかと思っていたからこそ、私はやっと訪れた調子のいい日々に喜んでいた。

もちろん自分たちの置かれている状況を軽視しているわけじゃない。

理事長に告げられた条件はかなり厳しいもので、一緒にいることを選択した私たちにとってはかなり大きな代償を払うものになる可能性がある。
しかも、それをすべて背負っているのは律樹だ。

私は、なるべく律樹をサポートしようと、引っ越しも急いだ。

職場に住む方が何かと近くて負担は減らせる。