最後の一夜が授けた奇跡

「私に何を言っても構いません。でも、私の大切な秘書や私の会社の社員に冷たくされたり、失礼な態度をとるのだけはやめていただきたい。」

大切な・・・

その言葉に、私は少し泣きそうになる。
唇をかみしめて我慢しながら私はもう一度お客様に向かって頭を下げてから社長室を出た。

我慢しきれず少し潤んでしまった瞳を、どうか律樹に見られないようにと思い頭をさげ、顔をあげた時、律樹と視線が合ってしまった。


あーダメだ。
早くここから去らないとだめだ。


私と視線が合ってしまった瞬間律樹の表情が曇ったことに私は気づいてしまう。