最後の一夜が授けた奇跡

そんなに敵意むき出しにしたらダメ。

私は律樹を諭すように、鋭い視線を律樹に送る。

でも、私の視線に気づきながらも律樹はその女性に鋭い視線を向けたままにしている。

「突然いらしても、私にも業務がありますので、困ります」
どきどきしながら二人のやりとりを見ていると、女性が私にきつい視線を送ってきた。

「いつまでそこにいるのかしら?あなたも私を邪魔もの扱いするの?」
女性の言葉に私はかなり焦る。

「いいえ。大変申し訳ありません。失礼いたします。」
トレーを胸に抱えながら私は女性に深く頭を下げて急いで社長室の扉へ向かった。

「やめていただけませんか?私の大切な秘書です。」
背後で聞こえてくる律樹の声に私は、緊張で手が震えた。

その人にそれ以上言ったらだめだ。