「そっか。理事長には季里の体調がもう少し安定してからあってほしいって伝えてあるから。今は体調を整えることだけを考えてな?」
「うん。ありがとう。」

律樹はそう言ってくれていても、いつまでも理事長を待たせるわけにはいかない。

せっかく律樹が作ってくれたチャンスだ。
私のせいで逃すわけにはいかない。

離れないと決めた私。
律樹が私をあきらめないと言って、作ってくれた大きなチャンス。
私だって大切にしたい。

あきらめたくない。

「部屋、入ろうか」
「うん」
玄関にいた私たち。
律樹は私の肩を抱くようにして部屋に一緒に入った。