『くよくよしても仕方ないでしょ。母は強しっていうでしょ?』
「うん」
『でも、母親ががんばってそうなるんじゃなくて、子供が強くしてくれるのよ。』
「子供が?」
『そうよ。季里も、お腹の子が強くしてくれる。もしかしたら今も、少しだけ強くしてくれてるんじゃないの?』
本当にそうだ。

この奇跡を授かれたからこそ、私も確実に変われている。

『お父さんが亡くなった時、それでも母さんが生きてこられたのは、立ち直れたのは季里がいたからよ。もう、強くなりすぎて再婚できなかったけどねー。』
暗くならないようにおちゃらけていう母。

「まだ、再婚のチャンスはあるよ。」
『当然でしょ?いつだって母さんはもう一度嫁に行く気たっぷりだから。もしかしたら季里より先に結婚するかもよ?』
母は私を明るくさせる才能を持っている。

今もそう。きっと私を励ますために話をしてくれている。