最後の一夜が授けた奇跡

律樹はその日から私の家でも仕事をするようになった。
それまではどれだけ時間をやりくりしていたのか、かなり大変な思いをしていたことが改めてわかり、私は少し胸が痛んだ。

私の部屋は決して広くはなくて、仕事をしている律樹の後ろで私はベッドに横になっていることが多い。

でも、律樹からの提案でやはりデパートの最上階にある律樹の部屋にいるよりも体調が安定するまでは私の部屋にいることにした。

時々仕事をしている律樹が私の方を振り向いたとき、目があってしまうと、律樹は心配すんな、大丈夫だとでも言うように微笑んでくれる。


仕事をしている律樹の後ろ姿はとても大きく見えて、私はこんな時なのに安心感に包まれた。