最後の一夜が授けた奇跡

「ばかだな。そんな風に思ってたのかよ。」
優しい声で、律樹は私に話しかける。

不安も心配もすべてを短い言葉に込めて律樹に伝えた瞬間ずっと我慢していたものがあふれ出す。

「私と出会わなかったら、律樹はこんな大変な思いしなくてすんだのに・・・」
「ほかには?」
「・・・?」
「季里が思ってること、全部言え。今、聞きたい。全部。」
「・・・・」
私をまっすぐに見る律樹。

私がすべてを話すのを待っている律樹。

言えない・・・。言えないよと首を横に振ると、そんな私にすら優しく微笑みながら律樹は視線をそらさずにまってくれる。

「ゆっくりでいいから。まとまらなくてもいいから。きかせてほしい。」
次々にあふれる涙をティッシュで拭きながら律樹が肩を抱いてくれる。