最後の一夜が授けた奇跡

「仕事・・」
「ん?」
「仕事大変なんでしょ?」
私の言葉に律樹は一瞬動きを止めた。

なぜそれを知っているのかという顔だ。

「会ったの・・・」
「誰に?」
「・・・」
言っていいものかどうか悩み言葉を続けられない。

「俺の親父か?」
律樹の言葉に首を横に振る。
「律樹が大変な思いをしてるって聞いたの・・・」
きっと律樹は誰に私が聞いたのかを考えている。眉間にしわを寄せて険しい顔をしている。

「私のせいで・・・律樹が大変な思いするの・・・嫌なの・・・」
顔をぐちゃぐちゃにゆがめて絞り出す言葉に、律樹の表情が険しさを失い心配そうな顔になる。