「どうしたんだよ。」
胸の中で私が泣いていることに気が付いた律樹が私の背中に再び手をまわして、背中をさすってくれる。

「いろいろ大変だったな。今もつわりひどいし、しんどいよな。」
「・・・違う」
「ん?」
律樹は私が体調がつらくて泣いていると思っているらしい。

そうじゃない。

律樹の胸の中で首を横にふる私に、律樹は顔を覗き込む。

「季里、ちょっと座ろう。真っ青だ。顔。」
久しぶりにたくさん動いて確かにくらくらしている頭。

私は律樹に甘えて両手を律樹の首に回した。
「お姫さまか。」
泣いている私を励ますように明るく言う律樹。