役所に着くと、律樹が先に整理券をもらってきてくれた。事情を話し、なるべく時間がかからないようにしてくれている。

順番が近づくと、車で待機している律樹の携帯がなり、私は律樹に支えられながら役所の中に入った。

「ここに座って」
「うん」
すべてをリードしてくれる律樹。
私がほとんど動かなくていいように、律樹が動いてくれている。

思っていたよりも手続きは時間がかからず、私はすぐに母子手帳を手にすることができた。

手にした母子手帳のデザインを見て、私たちはこれが母子手帳なのかと見入ってしまった。

少しずつ、親になるという実感がわいてくる。

「季里、ここで少し待ってて。」
律樹は私をベンチに座らせて、別の窓口へ行き何やら話をしている。