最後の一夜が授けた奇跡

ふと、ベッドからでて、窓の下を見る。

病院の玄関から携帯電話で誰かと話しながら急ぎ足で仕事へ向かう律樹が見える。

その姿はかなり忙しそうで、病室での律樹とは全く違う表情をしている。


仕事を辞めてしまった今、私には律樹が会社でどういう状況なのかが分からない。

それがもどかしくもあり、せつなくもなる。



『離れるのもあと少し』

律樹の言葉が何度もこだまするように響く。

本当に・・・離れるのは・・・最後になるだろうか・・・


そんなことを考えながら私はそっとお腹に触れた。