最後の一夜が授けた奇跡

「律樹」
「ん?」
「本当に仕事、大丈夫?」
「大丈夫だって。心配すんな。」
面会時間も終わりに近づいたとき、私はもう一度律樹に聞いた。

それでも微笑みながらそう答える律樹。

「季里は自分の体のことだけ考えてて。」
抱きしめられながら、私はやるせない気持ちになる。

「あー、このまま家に連れて帰りたいよ。本当は。」
「・・・」
「離れるのもあと少しだな」
「うん・・・」


結局律樹は仕事の話をほとんどしないまま仕事へ戻ってしまった。