最後の一夜が授けた奇跡

「どうした?」
どんなに繕おうとしても律樹にはわかってしまう。
律樹は私の病室に来るとすぐに私の顔を覗き込む。
「寝すぎてむくんじゃったかな」
ごまかす私にも律樹は納得のいかない顔をしながら私の頭を撫でた。

「体調、まだ万全じゃないんだから。気をつけような」
「うん」
「退院の日、休みとれたから、朝いちで迎えに来る。」
「ありがとう」

話を聞いてしまった私にはどれだけ大変な思いをして律樹が予定を開けてくれたかが分かる。

「仕事、どう?」
あえて聞いてみたくて質問すると、律樹は「大丈夫。順調だ。」と返事をしながら買ってきてくれた飲み物を冷蔵庫へ入れた。

ごまかしてるのは律樹も同じだ。