最後の一夜が授けた奇跡

「季里、出血してるか?」
「してないと思う」
電話口で聞かれたことを律樹が私に教えてくれる。
「吐き気はいつから?」
「朝方から・・・」
めまいが襲ってきて私は目を閉じて、顔の上に手を置く。

そんな私のお腹をさすりながら律樹は医師の指示を聞いていた。

「季里」
電話を終えた律樹。
「先生が念のため病院に来るようにだって。動けるか?」
めまいと吐き気に首を横に振ると、律樹が「わかった。今車を前にまわしてくるから少し待ってろ。」と急ぎ足で着替えて部屋から出た。

すぐに戻ってきた律樹は私のお腹にブランケットを巻いて、私の体を抱き上げる。
「重いでしょ・・・」
「ばか。重いに決まってんだろ。二人分の命抱いてんだ。重くなかったら困る。」