最後の一夜が授けた奇跡

何とか吐き気が少し治まった時、トイレから出るとあまりに足元がおぼつかない私をすぐに律樹は支えてくれた。
「吐いたのか?」
「・・・」
気分の悪さに声すら出せない私。
首を縦に振ると、律樹は洗面台に私を連れて行って口をすすがせてくれた。

「・・・お腹・・・」
「ん?」
「・・・お腹痛い・・・ちょっと・・・」
口をすすいだ私の言葉に律樹は真剣な表情になり、私の体を抱き上げるとすぐにベッドに横にならせてくれた。

「病院に電話して聞いてみる。」
律樹はそっと私のお腹に触れてその感覚を知ろうとしながら、電話をかけ始めた。

「先日そちらの産婦人科でお世話になった泉崎と申します。3日前に切迫流産で一日入院して、2週間後に受診をする予定なんですが、今日の朝、急な吐き気と、その際腹圧がかかったからか腹痛があるんです。」
冷静に状況を説明してくれる律樹。