最後の一夜が授けた奇跡

「先にご飯食べたのか?」
「うんん。寝てた。」
「そっか。じゃあ、先にご飯でもいいか?」
「うん。もちろん。」
律樹の言葉に私が立ち上がり支度をしようとすると、「だめ、俺がやるから」と律樹はさっと部屋着に着替えてキッチンへ向かった。

冷蔵庫の中には律樹が買ってきてくれた食材がたくさん入っている。

どれも食べやすい物ばかりだ。

貧血に気を付けてゆっくりと立ち上がり私はキッチンへ向かう。
体の大きな律樹が背中を丸めてキッチンに立っている姿を見ると、なんだか愛おしく思えた。

つい背中に抱き着くと、律樹は嬉しそうに少し後ろを振り返る。
「寂しいだろ?日中一人で家に置いて、ごめんな。」
「うんん。違う。」
「ん?」
「なんか、律樹の背中がおっきく見える。最近。」
「え?俺太った?」