「ちょうどシャワー浴びようを思ってたから。」
私が体を起こすと律樹が私の背を支えてくれた。

「明日から休もうと思ったんだけど、休めなさそうなんだ。ごめん。」
はじめから律樹に仕事を休んでほしいと思ってはいなかった私。
律樹は仕事を休んでまで私を介抱してくれようとしていたんだとその時知った。

「その気持ちだけで充分だよ。ありがとう。」
ベッドの上に座る私に律樹は申し訳なさそうな顔をしながら、少し乱れている私の髪をなでた。

「本当はずっと一緒にいて、すぐそばで支えたいんだけど、それ以上に今はやらないとならないことがあるからさ。それをしないと、本当の幸せ掴めなさそうだからさ。」
「お父さん、大丈夫だった?」
「あれは時間かかるな」
「そう・・・」
きっと私を考えて詳しくは話そうとしない律樹。
これ以上聞いても、私を考えて律樹はきっと言わない。

「大丈夫だよ。季里は今は体のことだけ考えろ?」
「うん・・・」
私の髪を撫でながら微笑む律樹の顔が疲れている。