『カチャ・・・』
遠慮がちに開けられた玄関の扉。
私は律樹に新しい部屋のカギを預けている。

きっと私が寝ているかもしれないと気を使って帰ってきた律樹。
帰宅する前にこれから帰るとメールが来ていた。

律樹は正午前に出社し、結局帰宅したのは深夜を過ぎていた。

私は眠れないままただただベッドの上で安静にすることに集中をしていた。

「おかえり」
疲れた顔で買い物袋を両手に持ち帰宅した律樹。
私が声をかけると私の方を見て律樹は申し訳なさそうに帰宅が遅くなったことを謝り始めた。

「ごめんな、遅くなって。」
「うんん。お疲れ様。」
「あー起きんな。横になってろ。」
「・・・大丈夫。」
ベッドの上で起き上がろうとする私のもとに律樹が慌てて近づく。