私の退院までの診察や薬をもらうまでに思ったよりも時間がかかった。

時々律樹が会社に電話を入れているのはわかっていた。

「ごめん。季里。今から行ってくる。すぐに戻るから。」
「うん」
電話を終えた律樹が申し訳なさそうに私に言う。
「行ってらっしゃい」
「うん。すぐに帰るから。絶対に動くなよ?」
「うん」
「何かあったらすぐに携帯に電話して。」
「うん」
「必要なものあったら買ってくるから、メールして」
「うん」

律樹は何度も私に動かないようにくぎを刺してから仕事へ向かった。

きっと会社で律樹のおとうさんが待っているのだろう。