最後の一夜が授けた奇跡

少ししてから私は診察室に呼ばれて診察を受けた。

律樹も一緒にエコーで赤ちゃんを見ると、自然と涙が流れた。

ふと隣で一緒にエコーを見ている律樹に視線を送ると、律樹は目を見開いて食い入るように画面を見ていた。その明らかに感動している顔に、私まで幸せな気持ちになれた。

「まだつわりはありませんか?だるかったり食欲がなかったり、においに敏感になったり。」
「・・・はい・・・多分・・・」
全く妊娠に気づいていなかった私。体調がよくないのも、食欲がないのも、精神的なものかと思っていた。正直、妊娠していたからなのかどうか定かじゃない。
「もしかしたらこれからつわりの症状がでるかもしれませんし、出ない人もいますから。」
医師は年配の女性で少し安心した。
穏やかな口調で話をしてくれている。

「今は切迫流産という診断です。詳しくはこの冊子に書いてありますから、生活の注意事項とか処方されるお薬についても載っています。バランスの良い食事についてもアドバイスが書かれているので、パパも読んでくださいね?」
私の隣で私以上に真剣に話を聞いていた律樹が”パパ”という言葉に明らかに喜んでいる。