最後の一夜が授けた奇跡

「・・・っ」
その顔を見ていたら、律樹の顔を見ていたら、やっぱり涙が込み上げてしまう。

理事長に律樹が言った言葉。
律樹は私のために、私なんかのために今までの努力も苦労も投げ出そうとしている。

社長という地位も、家族も捨てて、私を選ぼうとしている。

そんなこと私は望んでいない。


だって律樹がそんなんじゃ幸せになれないじゃない。


頭の中では自分の思いも気持ちも言葉にできるのに、律樹には涙が邪魔して言えない。

「季里。体にさわるから、落ち着こう。な?」
優しい瞳で私を見る律樹。