産婦人科の病室に着くと、律樹は車いすから私を抱き上げてベッドへ移動させてくれた。
看護師が私たちを微笑ましそうに見つめているけど、正直私はそれどころじゃない。

今日一日で、いろいろなことがありすぎて、正直キャパオーバーだ。

「それじゃあ、少ししたら先生の診察がありますから、その時は枕元のスピーカーからお呼びしますね。車いす、置いておきますから使ってください。」
律樹が私にぴったりと寄り添っているのを見て看護師も、介助があまり必要ないだろうと悟ったららしい。

うまく周りの状況に反応できない私に代わって律樹が「ありがとうございます」と頭を下げてくれた。


ここにいたらいけないに決まっているのに。
今の状況を考えたら律樹は会社に戻ったほうがいい。
でも・・・そんな言葉すら口にする余裕がない。