俺の言葉に季里は震えていたからだから力を抜き、俺の胸に額をつけてもたれた。

「どうして・・」
「ん?」
「どうして・・・そんなにうれしそうなのよ。」
「あたりまえだろ。うれしいに決まってる。」
「・・・」

あまりにうれしい出来事に、俺は季里が病院に運ばれる前に感じていた大きな怒りを忘れて、喜びに包まれていた。

同時に、今のままではいけない。

立ち向かわなければならない運命の壁に、ぶつからないとならないと覚悟も決めていた。


俺の胸にもたれる季里を抱きしめながら俺は全身からあふれ出す、大きなあたたかい感情を感じる。

これが ”愛” なのかと思いながら、こみ上げる愛おしさと、喜びに、今だけは浸りたいと目を閉じた。