「ほら、こっちきて」

「え……」

「キス、なゆが、もういいって言うまでしてあげる」



冗談半分で言ったのに、素直に身を預けてくるこの子はなんなんだろう。



赤い顔をして、目を潤ませて



「ん……うぅ、…りひと……、」



無自覚に上手に誘ってくる。




それから数分間

帰宅のチャイムが鳴るまで


なゆは一度も「もういい」とは言わなかった。