「あんな何の役にも立たない女は、一刻も早く嫁に行って、家事をこなして、あとはニコニコ笑っていればいいんだ」



“女は仕事をせずに家のことだけしていればいい。”

典型的な古い考えだなと怒り通り越して呆れつつ、なゆに関してはそれでいいと思っていることは誰にも言えない。



隣にいてくれれば、それだけでいいのに



ほかの誰でもない

──────俺の、




「それじゃあ利人君、頼んだよ」


と。

念を押す声が現実に引き戻す。



玄関を開けて出ていく。姿が完全に見えなくなってから、ようやく息ができた気がした。




なゆ。

お前は価値のない女なんかじゃないよ。



それだけは、いつか絶対

俺が証明してあげる。