記憶が鮮やかに蘇ってくる。
──────病院のベッド。酸素マスクをつけて苦しそうに呼吸してた。
今もし停電になって、酸素マスクの機能が止まっちゃったらどうしようとか。あのときは頭にわるいことしか浮かんでこなくて、本気でしんじゃうかもって思った。
思い出すとあたしまで苦しくなるくらい……。
灰田くんは、「そっか」と相づちをうっただけで深くは聞いてこなかった。
しばらくして病院に到着すると灰田くんは「じゃあ、また」と手をあげた。
「懲らしめてほしいヤツがいたら、いつでも連絡どーぞ?」
とニヒルな笑みを向けて去っていく背中に、ありがとう、ともう一度お礼を言う。
「あたし、利人のとこにはひとりでいくね。来てくれてありがとう。あと、飯田さんもほんとのこと打ち明けてくれてありがとね」
ふたりにそう伝えて車を降りた。
ブラウスのボタンが何個か外れてるけど、下着とかはちゃんと隠れてるし、なりふり構ってられない。