まぜこぜで自分でもよくわからないんだけど。
「ていうかお前ね、」
「っ!」
雑に唇を塞がれた。
「なに自分だけ甘いの買ってんの?」
無理やりこじあけられた部分から熱が入りこんでくる。
「は……っ、んん」
「……これココア?」
「…ゃぅ」
「俺もブラックじゃなくてこっちがよかった」
キス、深い……
と思った直後にはあっさり離れていく唇。もあそばれてるみたい。
期待させておいて放置とかひどいよ。
もう、キスしないのかな……?
そう思ったとき、鍵が閉まった扉の向こうから足音が聞こえてきた。
パタパタっていう、ちょっと軽めの──────これはたぶん女の子。
ガタ、と扉に手をかけた音。そして扉が開かなかったから、さらにガタガタ、と響く。
「利人くん、いないのー?」
聞こえてきた声はアヤノさんのもの。
キスで膨らんでた気持ちはおもしろいくらいにしぼんでいって、妙な緊張感だけが残った。