「ほんとだ、えっろ」

「っ、な…」



びっくりして反射的に振り向いてみれば、どう見てもそうは思ってなさそうな能面がそこにあった。


えっろ、って。
そんな無表情で言う……⁉




「ねー、お前さあ」

「っ、ひゃ、」

「これ、下着まで濡れちゃってんじゃないの?」

「……う、ぁ」



抱きしめられるかたちになって、自然と呼吸が止まった。

さっきみたいにぎゅ、ってされるのとはまた違って、前から軽く腕を回されてる感じ。



「利人……、ひゃぅ、ん」



ヘンに高くあがってしまった自分の声。

もちろん、ただ軽く抱きしめられただけでこんな声が出るわけない。



利人のせい……。

利人がブラウスのすそから手を忍びこませて、肌にじかに触れてくるから。



大きな手のひらが背中を滑る。

さまよう素振りもみせずに、指先が下着にたどりついて。



――パチッ。


……、って、音――。