「利人くんごめんね、わざわざ送ってもらって……。傘入れてくれてありがとう」



傘を忘れたというアヤノを見てみぬふりもできずに家まで送り届けて、いざ帰ろうとすると腕を掴まれた。




「お礼とかなにもできないけど、……。あったかいココアいれるから飲んでいかない?」


「いーえ。お気遣いなく」


「もう〜。利人くんってときどき急に他人行儀になるよね」



そう言いながら諦める素振りも見せないうちの書紀は、強引に家に引きずり込もうとする。


隙間を埋めるように体を密着させて。

柔らかい部分をわかりやすく押し付けてくるのは、言いたいことに気づいてほしいってことなんだろうけど。




「体冷えてんね。早く風呂入って寝たほうがいいよ」

「……、利人くん最近冷たいよ」



そりゃあそうだ、冷たくしてるんだから。